はじめに
小川鍼灸整骨院のブログです。今回は当院が行なっている「認知行動療法的なかかわり」について説明させて頂きます。
認知行動療法とは
認知行動療法を本当に大雑把に説明しますと、認知療法と行動療法が組み合わさった心理療法のことです。
認知療法はもともと、うつ病の治療の中から開発された方法です。うつ病を直面する出来事に対する「認知の歪み」と捉えて、その認知を患者とともに整理して修正していくことで症状を軽減させます。
行動療法はいわゆる「条件付け」と言われる心理学理論を応用した心理療法です。患者の望ましくない症状が何らかの物事に条件付けられていると解釈して、問題を解決していきます。
それぞれはもともと別の治療法だったのですが、認知療法は応用範囲は広いけれども理論的な厳密さに欠けてしまうという欠点があり、行動療法は理論的ではるが適応範囲が狭いという欠点がありました。双方に足りない部分を補い合う形でそれぞれは認知行動療法として統合されました。
現在は慢性疾患や痛みの治療、がん性疼痛、精神疾患、中毒など、単純に身体の治療では解決することができない、人間の感情や行動が関係する疾患への治療に用いられています。慢性腰痛や頸肩腕症候群、変形性関節症などは認知行動療法が効果をあげているという研究結果が多くあります。
当院が「認知行動療法」とまっすぐに言わないわけ
認知行動療法は、臨床心理士や心療内科医などの心理療法の専門家が、うつ病などの精神疾患に対して行なう心理療法です。
患者さんの考え方と心身の問題(痛みや気分が沈むなど)との関係性を見極めて、その傾向を患者さんと共有したうえで、患者さんの考え方を好ましい方向へ向かわせる治療方法です。厳密には、患者さんの考え方と心身の問題にどんな関係性があるのかを一定の形式に落とし込んで治療を行なっていきます。
患者さん自身が心の問題を認識してこの方法を行なう場合、この方法は高い効果を著わします。
しかし、腰痛や肩こりの治療の場合、その原因が心にあると認識している(できる)患者さんは非常に少ないです。多くの患者さんは、背骨のズレや骨盤のズレに問題があると考えています。
だから、治療の初めから認知行動療法を行なう事はできないのです。患者さんは身体の治療を期待しているのであり、心の治療は全く想像していないのです。
よって、厳密な意味での認知行動療法を行なう事はできません。
しかし、痛みの治療に効果が高い認知行動療法を利用しながら患者さんとの会話を積み重ねていくことで、正統な認知行動療法と同じような効果を得られることがあります。
このような、正統な認知行動療法とは異なる手順をとりながらも、認知行動療法と同じような効果を得られる関わり方を私たちは「認知行動療法的なかかわり」とよんでいます。
認知行動療法がどこに行っても良くならない患者さんに有効なわけ
理由は、痛みの原因が身体だけではなく、心にも関係しているケースが非常に多いからです。
例えば、痛みの教科書の目次には必ず痛みの心理的側面についての章がありますし、
心理学の教科書にも痛みと心について取り上げています。
楽しい時には痛みを感じにくく、痛みを感じている時に気分が落ち込むことは誰でも想像がつくでしょう。
どこに行っても良くならなかった患者さんはとりあえず西洋医学の医師を複数受診されていますが、ほとんどの医師は心の問題には触れません。また、患者さん自身も心の問題を全く意識していません。だから心が関係しているということは全く想定されていないのです。
症状が心と大きく関係している場合、身体だけに対処しても症状は改善しません。
だからどこに行っても良くならない患者さんの場合は、心の問題にも目を向けることが非常に重要になります。
これまで心の問題に目を向けることが全くなかった人が心の問題に気付いてそれに対処するとき、心の問題が身体の問題よりも大きい人ほど治療効果は高くなります。
認知行動療法だけではダメなわけ
しかしながら、認知行動療法だけでもダメです。なぜなら身体に問題がある場合もあるからです。
身体の原因は、構造的な原因と、機能的な原因に大きく分けることができます。構造的な原因はレントゲンやMRIで見つけることができますが、慢性的な痛みの場合、多くは機能的な原因による痛みです。
機能的な原因とは身体の働きの異常ということであり、たとえば筋肉の緊張とか、筋膜の歪みとか、不良姿勢などです。
機能的な原因は心の原因とも関連して症状を維持させます。ストレスを感じた時に、筋肉が緊張して肩こりや頭痛を感じるのは正にこのためです。
ですので、施術の効果を得るためには、筋膜リリースや整体などの治療と認知行動療法的なかかわりを連動させることが必要となります。
当院の認知行動療法的なかかわりとは
当院ではまず、患者様の症状を医学的に解釈するようにします。そこでもし検査などの必要があれば、提携先の病院へ紹介状を書きますので、検査に出向いて頂きます。
医学的な異常が排除された場合に、その多くは筋膜の異常、姿勢の異常、または検査が必要になるほどではない炎症などに対して、筋膜リリースや整体、鍼治療などを行います。
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そしてそれらの身体的な治療は手技はもちろんことばを介して行なわれます。
例えば、
患者さんが自分の症状をどのように捉えているのか、
過去の痛みの経験から過度な不安に陥っていないか、
痛みに対する極端な考え方によって必要以上にネガティブになっていないか、
こんなことを考えながら、適切なタイミングで適切なアドバイスを行ない、
患者さんが持っている自分の身体、症状に対するネガティブなイメージを塗り替える
ことが、当院が行なっている認知行動療法的なかかわりです。
遠方で来院できない方は、リモートカウンセリングも行なっています。痛みの経緯や痛みの具合からどのような対処法が必要かについてアドバイス致します。但し、診断行為は行えませんのでご了承下さい。ご希望の方はメールにてご予約ください。
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おわりに
大阪市の平野区、生野区界隈でどこに行っても良くならない痛みでお悩みの方は是非とも小川鍼灸整骨院にご相談下さい。筋膜リリース・整体・はり施術・認知行動療法的なかかわりを通して皆様の痛みを治療する鍼灸整骨院です。
執筆担当は小川でした。
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当院はコロナウイルス感染に対応中です。「3つの密」に対する対策をしっかりと行っています。
参考文献
熊野宏昭:新世代の認知行動療法.日本評論社,2012.