はじめに
小川鍼灸整骨院のブログです。
中高年の女性や出産後の女性に多く見られる、手首に痛みが出る疾患にドケルバン病があります。
ドケルバン病は手首の親指側に通っている2本の腱が関係する腱鞘炎です。
腱鞘炎ときくと、同じく中高年の女性に多く見られるばね指が思い当たるかもしれません。
ばね指も腱鞘炎ですが、引っ掛かりを感じることはほとんどなく、痛みが出る部位も異なります。
腱の構成
ドケルバン病には長母指外転筋と短母指伸筋の2本の腱が関与します。
この2本の腱は母指を広げると手首の母指側の部分にうっすらと2本の腱が浮かび上がることで確認できます。
・短母指伸筋腱:母指を伸ばす働きをもつ腱の1本
・長母指外転筋腱:母指を横に広げる働きをもつ腱の1本
症状
母指を広げたり、動かしたりすると手首の母指側が痛みが出たり、腫れたりします。
これは、手首の母指側にある腱鞘(腱を包む鞘のようなもの)とそこを通過する腱に炎症が起こると、指を動かした時に腱鞘の部分で腱がこすれるためです。
原因
仕事や家事で手の使い過ぎ、パソコン等による母指の使い過が報告されています。
また、妊娠や出産後のホルモンの影響、育児による新生児の頭部の保持とも関係があると言われています。
検査方法
母指を握って手首を小指側に曲げて、印の部分に痛みが出るとドケルバン病を疑います。
Eichhoff(アイヒホッフ)テスト
(別名:フィンケルシュタインテスト変法)
治療
多くの場合、ドケルバン病は保存療法がとられます。
まず母指の安静を保つ事が重要で、装具などを使用して動きを制限します。
症状が強い場合はステロイド注射を行う時もあります。
もし保存療法を3か月以上行っても効果が無かったり、痛みが強く再発を繰り返す時、早期に回復を目指す時には手術を行う時があります。
当院では、仕事や生活を考えて、テーピングやサポーターなどで患部を固定しています。
また、炎症を早期に抑えるために抗炎症効果のあるオイル治療や鍼治療を行っています。
おわりに
手首の痛みを生活をする上で困ることが多い症状です。
最近はスマートフォンを頻繁に使う事から、ドケルバン病になる人が増えているようです。
手を使った際、手首の親指側の痛みがでたら、この病気の可能性を考えて、信頼できる先生に相談してみてください。
当院は大阪市の平野区と生野区の境目、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。
大阪市 平野区 加美北 1-1-11
06-6755-6751
参考文献
1)上羽 康夫:手 その機能と解剖,金芳堂,1996
2)別府 諸兄(他):de Quervain病. 最新整形外科学大系,第15巻B, 11章腱鞘炎, 中川書店,p.92-95(1999)