はじめに
小川鍼灸整骨院のブログです。
意を決して手術をしたにもかかわらず、手術後の腰痛でお悩みの患者さんに向けて、今回は腰の手術後に残った痛みやその治療について報告させて頂きます。
手術後の腰痛でお悩みの方は是非ともご一読ください。とりあえずのご質問はメールで受けて受けていますので、お気軽にどうぞ。
小川鍼灸整骨院は大阪市の南西、平野区と生野区の境目にある南巽・加美北地区にあります鍼灸整骨院です。鍼灸・筋膜リリース・整体と同時に認知行動療法の理論を応用して治療に用いています。
腰の手術後の痛み
私の経験で一番多いのは、腰部脊柱管狭窄症の手術後に痛みが残るパターンです。しかも、私の所やってくる人は複数回の手術を受けた人が多い印象です。
実は、整形外科医の間でも、手術後に痛みが残る患者さんを問題視しています。整形外科医は、このような患者さんの状態をFBSS(Failed Back Surgery Syndrome)と名付けました。「腰手術の予後不良例に見られる症候群」と直訳できます。
FBSSは取り扱うに非常に難しい問題なのですが、その難しさを3つの点に集約しています。それぞれ解説していきましょう。
①「患者が訴える症状は必ずしも術前と同様とは限らず、手術前の責任高位や病態が変化している可能性があること」
これは、手術後に患者さんが腰痛を訴える場合には手術をした部分の痛みではない可能性があるということです。手術をしたところは良くなっているのですが、手術後に他の部分に痛みが出てくるということです。
可能性としてはあるのですが、患者さんからすれば、手術後に痛みが大きくなるまたは痛みに変化がないとなれば、手術が上手くいかなかったのではないか?と思うのが当然のことですね。
医療者がここを納得できるように説明してくれればよいのですが、コミュニケーションが上手くいかない場合には不信がつのって痛みは大きく感じられることになるでしょう。
②「術後の場合、画像診断が著しく劣ること」
これは、手術後に痛みの変化を画像的に捉えようとしてもなかなか上手く捉えられないということです。この論文では、手術後の腰痛を診断するためには、画像以外にも患者さんのしびれの部位や麻痺の状態、患者さんの訴え、時にはブロック注射の効き目など総合的に判断する必要があるとしています。
しかし、画像で状態を判断することは、客観性を重視する医師にとっては重要なことのでしょう。これができないから患者さんに上手く説明できないということです。
③「術後成績不良との判断は医療側ではなく、患者自身に委ねられているところ」
この問題については、当たり前といえば当たり前です。医療といえどもサービス業なので、最終的に成功かどうかの判断は医師が決めるのではなく、患者さんが決めるのです。
医師はそのことをわかりながらもここが難しいところといっています。つまりこのことは、患者側からすれば当たり前のことが医師からすれば当たり前になっていないのです。
この記述の中では、
「医療を受けた側が症状の回復の如何にかかわらず治療に満足してもらえればFBSSにはならない。逆に他覚的所見は99%改善していても、残った1%の症状に対して医療を受けた側が満足できない場合にはFBSSになってしまう。」
とあり、医療者が患者満足を高めることの重要性を意識しながらも、現行医療制度ではそれが難しいことが現われています。
手術後の痛みから回復するためには
前回のブログでも書きましたが、手術後の腰痛から回復するためには、医療者としっかりとコミュニケーションをとって、自分の腰痛について不可解な点を明らかにすることです。主治医とよくお話しすることが理想的ですが、それができない場合にはセカンドオピニオンとして他の先生の意見を聞くことも良いでしょう。
ご自分の現状に納得ができるようになるまでには時間がかかることがあります。というか、多くの人がお困りなのは、まさにこの期間なのですね。
この間には、不安はもちろん、時には怒りや憎しみのような感情が生まれます。後悔などもあるかもしれません。少し大げさに思われるかもしれませんが、多かれ少なかれ、これらの感情によって痛みは通常よりも大きく感じられます。
手術を受けたにもかかわらず、症状が回復しない時の辛さは本人にしかわからないものです。その苦しみは想像の域を超えるものでしょう。しかし、現状からの回復をめざすのならば、自分に降りかかっている状況に整理を付けて、現状を受け入れながらも前に進む準備が必要なのです。
そして、その準備ができれば少しずつ運動を開始していきましょう。
当院にできること
小川鍼灸整骨院では、鍼灸や筋膜リリース、整体などの施術を通して患者さんの痛みを小さくしていくことと同時に、認知行動療法的なかかわりを行ないながら、現状を受け入れる準備をお手伝いします。そして軽い運動の提案を行ないます。
鍼灸施術では、患部周辺筋肉の血流を改善させたり、筋肉の緊張をゆるめたりして慢性的な痛みを軽減させます。また鍼灸の全身的な効果には痛みに対する感受性を低下させる(痛みの閾値を高くする)働きがあると言われています。鍼灸施術で痛みが小さくなれば、痛みがなくなってからの生活や仕事への復帰のイメージが出来上がってきます。
筋膜リリースも鍼灸と同じ効果を持ちますが、患部周辺の筋膜の癒着を解消することで、全身的な歪みを改善させることが期待できます。特に腰の手術の後は痛みを回避するために姿勢を歪めてしまう事があります。
また、その姿勢が楽な姿勢であるために、無意識にその姿勢をとってしまい、何が本来の正しい姿勢かが分らなくなってくるようです。これらの歪みを筋膜リリースで解消することができます。
整体は手術後の患者さんには特に有効です。その理由は、手術後の患者さんは脊柱に対する強い恐怖心をお持ちです。その恐怖心を少しずつ軽減させるためには、可動域いっぱいに動かしていくことが非常に効果的なのです。ただし、ここには治療者と患者さんとの間に信頼関係が重要になります。
認知行動療法的なかかわりでは、患者さんのお話をよくお伺いして、患者さん自信が手術後の腰についてどのようにお考えなのかを教えてもらいます。
多くの患者さんは、破局的思考や恐怖回避思考という、腰痛と関連するネガティブな考え方を持っておられますので、その考え方を尊重しながらも少しずつ変化させるようにしていきます。
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例えば、このような患者さんがいらっしゃいました。
その患者さんは脊柱管狭窄症の手術を2回受けておられました。手術後も痛みが強いということで来院されたのですが、よくお話しをお伺いすると、手術の際に腰骨に打ち込んだボルトが緩んできそうな気がして、それが怖くて自転車に乗ることができないし、車にも乗ることができないということでした。
この方は昔から機械いじりが趣味でして、機械の中の部品であるネジが振動によって緩んでいくことを何度も経験されています。「自分の腰に打ち込まれたボルトも振動によって緩んでいくのではないか?と考えると、不安が大きくなるということなのです。
医学文献から、ボルトの破損についての記述について調べたり、担当医師と連絡をとって、その可能性についてお伺いしたところ、ボルトの破損の確立が非常に小さいことを確認して、この患者さんに伝え、痛みをとるための筋膜リリースを行ないながら軽い運動から始めるようにして最終的には仕事に復帰されました。
遠方で来院できない方には、リモートカウンセリングも行なっています。痛みの経緯や痛みの具合からどのような対処法が必要かについてアドバイス致します。但し、診断行為は行えませんのでご了承下さい。ご希望の方はメールにてご予約ください。
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http://www.korikori.com/contact/
おわりに
大阪市の平野区、生野区界隈で手術後の腰痛にお悩みの方は是非とも小川鍼灸整骨院にご相談下さい。鍼灸・筋膜リリース・整体などでみなさまの痛みを施術します。
小川鍼灸整骨院は大阪市の平野区と生野区の境目にある南巽・加美北地区、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。北巽は一つ手前の駅です。北巽ではなく南巽で下車してくださいね。
当院へは平野区・生野区の他に東住吉区、東成区、天王寺区や、東大阪市の渋川町、寿町、衣摺、柏田、からも患者さんが来院されています。
参考文献
大谷晃司:─腰下肢痛治療におけるエピドラスコピーの位置づけ─Failed Back Surgery Syndromeについて.日本臨床麻酔学会誌 32 巻 2 号 p. 266-270, 2012.