論文紹介:坐骨神経痛は動いた方が良い?【坐骨神経痛 運動 マクロファージ 南巽 整骨院】

はじめに

 

小川鍼灸整骨院のブログです。

 

今回は、「走運動による損傷坐骨神経でのM2マクロファージの増加は神経障害性疼痛の緩和に関与する」という論文を紹介いたします。

 

坐骨神経痛などの痛みがあるときに、安静にしたほうが良いのか、それとも運動をしたほうが良いのか、患者さんからよく質問を受けます。その質問に1つの答えを与えてくれるのが今回の論文です。ここにはマクロファージという免疫細胞が関係しています。

 

内容

 

この研究では、マウスに手術を行ない、マウスの坐骨神経を糸で結びます。そうして坐骨神経が損傷されたマウス(坐骨神経痛モデルマウス)を作り上げるのです。この坐骨神経痛モデルマウスは16匹つくられますが、8匹は手術後2日目から5日間、トレッドミルという機械の上で走らされます。毎分7メートルの早さで1日60分です。もう8匹の坐骨神経痛モデルマウスは、走らず安静を保って飼育されます。どちらのマウスも手術から2日目、3日目、5日目、6日目に痛みの評価を行ないます。この評価、どうやってするの?と疑問になりますよね。マウスはしゃべらないからです。実は、すでに確立された評価の方法がありますのでご安心ください。

 

また、7日目にはそのマウスを解剖して坐骨神経を観察しています。手術後の5日間を運動しながら過ごした坐骨神経痛モデルマウスと、安静を保った坐骨神経痛モデルマウスでは、坐骨神経で実際にどんなことが起きているのか?

 

結果は、運動を行なった坐骨神経痛モデルマウスのほうが、安静を保ったそれよりも、神経の回復が早く、坐骨神経の解剖の結果、炎症を起こすマクロファージの数が減っていて、炎症を抑えるマクロファージという免疫細胞の数が増えていたことがわかったのです。

 

このことから、坐骨神経痛があってもできるだけ動くようにすることで、神経の炎症を抑える免疫細胞が働き、痛みが小さくなるということがわかりました。

 

もちろん、この研究だけで坐骨神経痛にまつわる問題すべてが解決するということではありませんが、このような基礎研究は非常に重要だと思います。

 

 

当院の見解

私たちは多くの坐骨神経痛の患者さんを診ます。坐骨神経痛の患者さんに対して当院ではこれまで、できるだけ動くようにと指導してきました。理由は、安静にしていても早く良くなるという確証がなく、安静にしている方が痛みに意識が集中して痛みを感じやすいからです。また、筋肉の萎縮も進んでしまいます。

 

今回のこの論文は、私たちのこれまでの指導が正しかったことに加えて、医学的にもそれが好ましいことを明らかにしてくれました。坐骨神経痛に関する痛みの研究はこのほかにもまだまだあります。有用な研究結果に目を通して、合理的な治療を目指したいものです。

 

おわりに

 

坐骨神経痛でお悩みの方は多いと思います。大阪市の平野区、生野区界隈で、坐骨神経痛にお悩みの方は是非とも当院にご相談下さい。当院は大阪市の平野区生野区の境目、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。

 

 

参考文献

1)田口 聖他:走運動による損傷坐骨神経でのM2マクロファージの増加は神経障害性疼痛の緩和に関与 する.PAIN RESEARCH,30 巻 3 号 p. 135-147,2015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pain/30/3/30_1/_pdf/-char/ja

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