はじめに
小川鍼灸整骨院のブログです。
「はりってどれぐらい入ってるの?」と聞かれる事がよくあります。きっと皆さん気になるのですね。
今回は、はりの深さと治療効果についての研究を見つけましたので紹介いたします。
深い鍼と浅い鍼、どちらが効果的なのでしょうか?
今回はそんな事を調べた興味深い論文を紹介します。
小川鍼灸整骨院は大阪市の南西、平野区と生野区の境目にある加美北地区にあります鍼灸整骨院です。鍼灸・筋膜リリース・整体と同時に認知行動療法の理論を応用して治療に用いています。
内容
論文のタイトルは、
「肩こりに対する鍼の刺入深度の違いによる効果の相違 ~予備的ランダム化比較試験~」
です。
肩こりの症状は個人差がおおきく、故に治療法もいろいろです。そこでこの研究では鍼の深さが治療効果とどう関係するかどうかを検討しました。
対象と方法
肩こり患者16名を、浅くはりをする8例のグループ(浅鍼群)と深くはりをする8例のグループ(深鍼群)に分けて治療を行ないました。
浅鍼群は皮膚を少し貫く程度(約5ミリ)、
深鍼群は1センチから2センチ程度
として、刺したはりはすぐに抜くようにしました。
この治療を週に1回、合計5回行ないました。
治療の評価は、治療直後と最終治療日のあと、4週間経過した時点(治療開始から8週間後)に行ないました。
治療効果の評価は
①肩こりの程度、
②はり治療の効果が日常生活を改善させたか
③はりを刺したときの感覚
④治療に対する満足度
について行ないました。
その結果、
①肩こりの程度について
はりを行なった直後は深鍼群のほうが浅鍼群よりも楽になっていました(深鍼のほうがよく効いた)が、最初の治療前と5回目の治療前の肩こりの程度を比べると、統計的には有意な差がないと判定されました(どちらも効いていた)。
②日常生活における改善度
深鍼群の方が数字的には改善の度合いは大きいけれども統計学的な処理を施した結果は差がありませんでした。
③はりをした時の感覚
特に響きが、深鍼群で全例の患者が感じていた。また、浅鍼群は全例の患者が響きを感じていませんでした(当たり前?(笑))。
④はりに対する満足度
深鍼群では大満足が3名、満足が3名、普通が1名であり、浅鍼群では満足が4名、普通が2名でした。
そしてこの研究では、上の結果を踏まえて以下のことが考察されました。
・これまでの研究で同様の研究はあったが、腰痛や肩痛に対しては深部まで刺した方が効果が高いという研究結果が得られている。でも、膝に関しては浅い、深いには関係がなかった。
・痛みの原因となっている筋を同定してその筋を刺激することで筋が緩んで血流が改善されることが確認されていることから、はりの効果は問題のある筋肉の深さまで到達することが重要ではないか。
・痛みのある組織は感作された状態であり、その部位へ刺激が入力されると響きを感じると考えられるがこのことが、深鍼群と浅鍼群の響きの違いにつながった。また、響きが治療効果に直結する理由もここにあると考えられる。
・効果を得るための刺鍼の深さは画一的なものではなく、問題となっている筋の深さによって変化する。膝は浅いところに感覚受容器が多いため、鍼刺入の深さと効果に差がなかったと考えられる。
ということでした。
遠方で来院できない方は、リモートカウンセリングも行なっています。痛みの経緯や痛みの具合からどのような対処法が必要かについてアドバイス致します。但し、診断行為は行えませんのでご了承下さい。ご希望の方はメールにてご予約ください。
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おわりに
深い鍼と浅い鍼、どちらが効果的なのか?
これについては、膝では浅い方が良いとされるように、単に深いから効果的というよりは、痛みの原因となっている部位(鍼で刺激するべき部位)が浅いか深いかが問題ということなんですね。
納得の内容だといえます。
当院では、患者さんの好みや刺激を与えるべき部位に従って、深さを変えて施術しています。
大阪市の平野区、生野区界隈でどこに行ってもよくならない肩こりでお悩みの方は是非とも小川鍼灸整骨院にご相談下さい。小川鍼灸整骨院は大阪市の平野区と生野区の境目、加美北地区、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。
参考文献
大﨑彩加他):肩こりに対する鍼の刺入深度の違いによる効果の相違 予備的ランダム化比較試験.全日本鍼灸学会雑誌,68 巻 1 号, p. 10-20 ,2018.