手関節背側の腫瘤、手のしびれ、手の痛み
ガングリオンとは
ガングリオンとは、手に発生する腫瘍の一つで日常的によく見られます。
その袋(腫瘍)の中には無色透明なゼリー状の液体が入っています。
典型的なガングリオンの発生部位は、手関節の背側中央ですが、
他にも掌側の親指側包やばね指の生じる指の付け根の掌側の腱鞘で見られます。
ガングリオンの原因
ガングリオンが発生する原因は明確には分かっていませんが、関節包や腱鞘の部分から発生することから
☑関節液や腱と腱鞘(の潤滑油である滑液がガングリオンの袋に送られ、濃縮してゼリー状になった為
また、骨や筋肉、神経にもガングリオンは発生し、それらについての原因は
☑粘液変性したものが融合して生じた為
と考えられています
若い女性に多く見られますが、必ずしも手を良く使う人に見られるわけではありません。
症状
症状としては、ガングリオンは基本的に無症状なことが多いのですが、
腫脹や違和感、時に自発痛が見られることがあり、腫瘤の大きさは米粒大からピンポン玉と幅があります。
ガングリオンによって神経が圧迫されて、手のしびれや筋委縮が発生する例もありますが、それほど多くはありません。
治療法
ガングリオンの見極めは比較的容易で、その感触や発生部位でも十分に疑うことが出来ます。
医療機関では注射針を刺してゼリー状の内容物が吸引できればガングリオンと診断しています。
また、表面からは触れにくい場所や他の種類の腫瘍が考えられる場合は、
エコー(超音波画像診断装置)やMRI検査を行い診断していきます。
ガングリオンの治療は保存療法が用いられることが多く、穿刺や圧潰などがあります。
穿刺はガングリオンに注射針を刺して注射器で吸引し内容物を排出します。
圧潰はガングリオンに力を加えて押し潰します。
基本的には保存療法をしても、繰り返し内容物が溜まるようなら、
ガングリオンの外科的摘出法の方法を選択することがあります。
おわりに
ガングリオンは腫瘤のみで無症状なら、放置しても特に問題はありませんが、
大きくなるもの、痛みが強いもの、神経が圧迫されて神経症状があるもの
(痛みや運動障害など)は治療が必要になります。
しっかりと鑑別できる先生に診てもらうことが大切です。
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参考文献
藤晢:ガングリオン.最新整形外科学大系,第15巻.14章手の腫瘍および類似疾患.中川書店,1999,p 201-p205