小川鍼灸整骨院のブログです。
文化人類学者、吉田先生は6名のサキット・ポロンの事例を集め、それらの事例を報告しています。
3例だけみてみましょう。
事例1:17歳女性。
結婚して妊娠した際にサキット・ポロンに陥った。彼女はアラーの神へのお祈り、聖水を浴びること、沐浴など2回にわたるの呪術師の治療によって回復した。原因は、独身時代に求婚されたがそれを断ったことであるとされていた。
事例2:25歳男性。
いつもはとらないような行動を起こすようになりその前日に洗濯物が盗まれていた。このことを理由に、彼の父親がサキット・ポロンと判断して呪術師のもとに連れて行った。3回の聖水による治療でその後異常行動はなくなった。原因は盗まれた洗濯物を通して誰かに呪術をかけられたことであり、人間関係のこじれとされたが本人は見当がつかなかった。
事例3:30歳男性。
仕事が終わって帰り道に突然言葉に詰まり、両手足をばたつかせる発作を起こした。友人が呪術師を呼び聖水を浴びせるとこん睡状態に陥って30分後に目覚めた。その時には発作のこと覚えていない。原因は1)仕事帰りで疲れていて精霊の攻撃を受けやすい精神状態、2)町はずれのさみしい場所、3)夕方の時間帯とされ精霊の攻撃を受けやすい3つの条件がそろったことと、それに加えてこの男性が不正な商売をしていたこととした。
吉田さんは6事例から次のようにまとめました。
「サキット・ポロン」は、
・老若男女に発症する
・突然サキット・ポロンにかかる
・無意識の状態で理解不能な言葉を吐く
・異常に高揚した行動をとり自分をコントロールできない
・意識の消失、こん睡、身体の衰弱があり、回復した後はそのことを記憶していない
・うつ状態に陥る
そしてこれらは主に次の2つの原因をあてがわれ、その原因を患者の外側に置く。
1つは悪い精霊による攻撃、もう1つは誰かからの呪い。
これらのことから、サキット・ポロンが成立する文化的背景には精霊信仰の世界観、人間関係を重んじる社会があるといえます。
そしてそれらの社会文化的背景に個人的な出来事が合致したときに、事例1と3では本人自身がサキット・ポロンに陥り、また、事例2では周囲によってサキット・ポロンに仕立て上げられるということになります。
そして、非常におもしろいことに、原因を患者の外側に置き、呪術者がその原因を治療(対処)し、その後に治るという、水戸黄門のようなお決まりのストーリーがあるのです。
このような文化結合症候群は他にもいろいろ報告されています。詳細は、『アン・マッケロイ、パトリシア・タウンゼント(著)「医療人類学世界の健康問題を解き明かす」』をご参照ください。
病気や健康が文化や社会によっていろいろな形をとることが報告されています。
興味深いことは現代社会にも文化結合症候群があるとされることです。
例えば拒食症などはそうとされます。メディアによって細身の女性が美しいとされる風潮は、女性の身体観を歪ませています。本来なら健康的な体型を太りすぎと捉えてしまい、過度に痩せようとすることは食べてはいけないという思考に走らせるのです。いつしか食べ物を受け付けない体になってしまうのですね。
また、日本の文化結合症候群は「赤面症」であるとなにかで読みました。外国人が日本人を研究したときに見出された文化性として「恥の文化」があるそうです。
この「恥の文化」は対人場面において緊張をもたらすということでしょうか。
そういえばそうかもしれません。
では、これらの文化結合症候群の考察から肩こりや腰痛、その他、原因がわからない痛みに話を展開してみましょう!
(つづく)
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