小川鍼灸整骨院のブログです。
今回は利用者さまGさんから学びました!
この学びから「現場で人文社会科学がいかに必要なのか」を表現することが今回の私の課題です(笑)。
脳梗塞で軽い麻痺が残っておられるGさんはたすくに通所されて2か月ほどになります。不活動の結果、階段の上り下りも満足にできなくなってしまったことが通所のきっかけです。
通所当初、なんとか運動をこなしておられたGさんは、デイの環境に慣れてきた頃から個別に行う機能訓練を避けるようになりました。
理由は様々です。
「この前の運動の後の痛みがまだ残っているから」
「雨の日は体調がわるい」
「雨の次の日は体調が悪い」
「昨夜、こむら返りになったから」・・・・
Gさんは他の利用者さんの機能訓練を横目で気にしていて、機能訓練に全く興味がないわけではなさそうなので、もう少し長い目で見ようと私は考えました。
そんなあるとき、Gさんが私の前に意味ありげに歩み寄ってきて私に話しかけました。
「院長(私はこう呼ばれています)、オレな、最近歩いてたら足が急にふわーっとなってそれから力が抜けてしまうねん、これ治すのにどうしたらええねん」
Gさんは力が抜ける状態を筋肉や神経に起きる異常として捉えて私に相談してきた様子でした。
その発言を受けて私は、「だから運動しようって誘ってるのに!」
と心の中で反応してしてしまったことを覚えています。ただ、もちろんその態度を表出するわけにもいきません。
次のような会話が続きました。
私:「なるほどGさん、理論的に考えられることは太ももの筋力不足で膝を支える筋肉がやせてきて膝が折れてしまう現象が起きているのではないでしょうか?」
Gさん:「いや、それはちがう!ふわーとなるんや、これは何が原因や?」
私:「だからGさん、医学的に考えていかないとですね、」
Gさん:「医学的はもうええねん、医者に検査はしてもらったけど異常はないって言われてるから!」
私:「いや、そうじゃなくって、理論的に考えないと・・・」
私はGさんから「ふわー」と主観的に感じるその状況の理由をGさんが納得できるように説明してくれと迫られているのです。
「ふわー」となることをGさんが納得するように説明する、どうすればいいのでしょうか?
Gさんは自営業者でした。お話をお伺いする限り事業では成功をおさめたご様子。ご自身の人生にもしっかりとした持論をお持ちのようです。
そのGさんが体に異変を感じて、自分より多くの情報をもっているとみられる相手(私)に意見を聞きたいと言っている。
しかし、聞きたい内容は「ふわー」となること。これはGさんの主観的な感覚です。
私はこのGさんの主観がどのような身体の異常からやってきているのかを専門的に分析しようとGさんの言葉を手がかりにして理論的に置き換え、Gさんに確認しようとしたのです。
しかしGさんはそのことを許さない。
その異常はGさんにとってどこまでも「ふわー」とした感覚であり、それ以外の何物でもないのです。
ご自身の人生にしっかりとした持論をお持ちのGさんは、自分の感覚を他の誰かに別の言葉に置き換えられることを許しません。そこは揺らぎません。
「ふわー」としたこの感覚は私のものではなく、Gさんのもです。
「これはちょっと厄介やな・・」
と思いながらもGさんにチャレンジすることにしました。
とにかくお話をつづけました。すると面白いことが聞けたのです。
「おれな、病院いって医者とケンカすることがあるねん、あいつら検査ばっかりで何も知らんねん」
「だからオレ言うたんねん、あんたらは何もわかってないって。オレが痛い、オレが悪いゆうたらオレの方がよう知ってるやんけ、あんあたらなにもかってない、三分の一もわかってへんやんけって」
なるほど。確かに!
私はGさんのこの主観的な感覚を、Gさんが納得するようにどう説明できるのか・・・
いや、結果としてうまく説明することができたのです!
(つづく)
臨時のブログですが、いつも通り長くなりそうなので2つに割ることにしました。ブログの書き方を説明したブログでは一話完結!言いたいことは1つだけ!とありましたが、そんなの無理!って感じです。
腰痛の医学的な理由は次の次にしますね。
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