論文紹介:腰痛とつきあう【小川鍼灸整骨院 大阪 平野区  生野区 南巽 鍼灸院 整骨院 腰痛】

はじめに

今回の小川鍼灸整骨院のブログは、論文の紹介です。腰痛についての市民講座として話された内容が論文になっているものを見つけました。順天堂大学の米澤郁穂という先生の論文です。市民向けに話された内容ですのでまとまっており、比較的やさしいものになっています。

 

小川鍼灸整骨院は大阪市平野区の 鍼灸院 整骨院です。

 

 

内容

国民生活基礎調査の結果として最も自覚症状が多いとされる腰痛。今後の高齢化に伴い社会が直面する大きな問題出あるために腰痛との付き合い方について丁寧に述べられています。

腰痛の原因として代表的な「背骨と神経に関係する腰痛」と、「緊急に治療が必要となる腰痛」を分けて説明しています。

「背骨と神経に関係する腰痛」には、

・ぎっくり腰、
・腰椎椎間板ヘルニア
・腰部脊柱管狭窄症
が説明されています。

 

「緊急に治療が必要となる腰痛」には、

・感染
・腫瘍
・血管生腰痛
・内臓性腰痛
・心因性腰痛(・うつ病・心身症)

 

などが挙げられ、簡単に説明されていました。詳しくは論文のURLを最下段に示しますので、ご確認ください。

 

治療の基本的な考え方については、足の筋肉の麻痺や、おしっこが出にくくなるなどの、神経的な症状が現れた場合、これは緊急を要するために手術が必要になるがそうでなければ例え激痛であっても手術を急ぐ必要はないということです。痛みが強い時には、安静、消炎鎮痛剤の使用、コルセット、ブロック注射を行ない、慢性期には温熱療法や運動療法を取り入れるとのことです。

 

またブロック注射については有効な治療であり、手術を決定する前提にはブロック注射が効かないことを前提とするそうです。

 

米澤先生が比較的多く記述しているのは、運動療法の効果についてです。以下のような興味深い日本で行なわれた研究を紹介されています。

 

発症から3ヵ月以上経過して、神経的な異常がないとされる慢性腰痛の患者さん201人を、運動で治すグループ(103人)と鎮痛剤で治すグループ(98人)に分けて8週間治療を行ない、その結果を比較すると、8週間後にはどちらも腰痛は軽減しているのですが、運動療法のほうが軽減の幅が大きかった、つまり効果が高かったのです。

 

これらのことから米澤先生は、腰痛は手術が必要かどうかをしっかりと見極めて、手術が必要でない腰痛の場合は時間の経過によって軽減することがあるので、運動療法などを行ない、「治癒を待つことを原則にするべき」とまとめておられます。

 

当院の意見

痛みでお悩みの患者さんに対して、臨床家・研究者としてのこれまでの営みを完結にまとめられた素晴らしい論文と思います。手術が必要な腰痛であるのかどうかをまずは見極めて、そうでなければ時間をかけてゆっくり腰痛とお付き合いしましょうというご見解です。

 

しかし、夏目静子さんの著書を参考に心因性腰痛について述べられていますが、心因性腰痛についての取扱いについては少し疑問に思いました。

 

腰痛の原因はそれぞれ単体で存在するというよりは複合的に存在すると考えられ、更には、心理的要因はすべての要因に備わっていると考えられるからです。

 

例えば、ぎっくり腰の患者さんは背骨に原因があると考えられる一方で再発の不安や魔女の一撃がいつやってくのかの不安、仕事をやりこなすことが出来るのかの不安などが常につきまといます。

 

また、医師の検査を受けて「手術が必要でないほどの腰痛である、時間が経てば楽になる」と説明されてもそれが本当にそうなのか、それを信じていいのか、もっと良い方法が自分にはあるのではないか?と患者さんは思ってしまいます。

 

 

この、患者さんの個人的な心理状態を理解してあげることが、手術が必要な腰痛であるのかどうかを見極めることと同じぐらい重要な事ではないか?と代替医療者の立場からは感じました。

 

上記のように意見させて頂きましたが、日々患者さんの身体所見につきまして誠実に向き合う医師の先生方には敬服致します。

 

おわりに

米澤先生の論文は、患者さんにとっても治療者にとっても非常に有益なものであります。

 

私たち代替医療はさらに医師が努力しても治療からこぼれおちる、行き場のない患者さんのお力になるために、患者さんの気持ちに真摯に向き合いながら治療を行なっていきたいものです。

 

当院では痛みがなくなるまでの間、より積極的に治療したいと希望する患者さんに対して、筋膜リリース・はり・整体・認知行動療法の応用を用いて治療を行なっております。

 

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文献

 

米澤郁穂:腰痛とつきあう.順天堂医学,54,p363-366,2008
https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjmj/54/3/54_363/_pdf/-char/ja

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