医療者の言葉は患者に届く?届かない?① 【平野区 生野区 南巽 整骨院】

医療者ならみなさん経験あると思いますが、

自分が正しい(と考える)知識をもって患者さん

に説明をしてもなかなか理解してもらえないこと

ってありますよね。

 

今回はそのような患者さんについて考えてみたい

と思います。

 

この話の結論は、

 

「治療者の言葉が患者に届くということは、

偶然のことが多い」

 

ということです。

 

79歳女性、Mさん。圧迫骨折による腰痛を訴え

られる患者さんについてのお話しです。

 

昔から病気の経験があまりなく、バリバリ働いて

健康には自身があったというMさん。

 

 

転倒して股関節を骨折。人工関節にならなかった

のでよかったのですが、その後の転倒で圧迫骨折

を受傷してしまいました。

 

2度の転倒とその結果としての圧迫骨折の痛みは

これまで培ってきたMさんの健康観を粉々に打ち

砕きました。

 

 

Mさんの心理状態は不安定で生活は引きこもり

傾向です。

 

そのような中、息子さんに連れられて来院された

Mさん。最初は治療に出かけてしまえば楽になる

のは分かっているけど、家を出るのが辛い、

おっくうであると治療の頻度は週に1回程度で

した。

 

治療のなかでMさんは、Mさんの辛さを質問と

いう形にしてたびたび私に投げかけてきました。

 

「先生、この痛み本当に楽になるの?もう一生

この痛みのままじゃないの?」

 

私はこの質問を受けるたびに、Mさんの痛みは

Mさんの人生の質に大きく影響を与えると考える

ようになりました。

 

 

Mさんの心理状態はかなり深刻な状態でした。

 

私はMさんから上記の質問を受けたときには必ず、

 

「Mさん大丈夫!この痛みは今が頂点でこれから

小さくなっていきます。後になって振り返ると、

あの時の痛みは何だったんだろうと思えるほどの

痛みになっていますよ。絶対楽になるから

大丈夫!」

 

 

と強く答えました。

 

Mさんは

 

「本当かなあ、この痛みがなくなるの?

そんなことまったく信じられない」

 

とポジティブではありません。

 

それもそのはずです。Mさんは痛みの渦のなかに

すっかりのみ込まれてしまっており、外からの

楽観的とすら思われるような意見には耳を傾ける

余裕など全くないのです。

 

 

それに加えてMさん自身、本当によくなるなんて

思えなかったのでしょう。

 

しかし私には痛みがこれ以上長引かないと考える

確証がありました。

 

その確証とは、
・まだ痛みが出現して2ヶ月程度しか経過していない

 

・転倒前には痛みはなく心身ともに健康であった

 

・痛みは坐骨神経痛と考えられるが神経痛は膝を

超えて腓骨神経領域まで達していない

 

・X線検査の結果、圧迫骨折は数年前のものだった
などの情報です。

 

私の経験ではこれらの条件下の痛みは比較的に

治りやすいのですこれらは痛みを長引かせる理由

になりえないと考えます。

 

 

理論的な解釈は治療者によって異なると思います

が、Mさんの治療者としての私の見解はこの通り

です。

 

そして、粘り強い治療の結果、現在Mさんの痛み

はかなり改善しており、一人で歩行できるように

なっています。結果的に痛みは良くなったのです。

 

近頃では「あー本当に楽になってよかった、

先生ありがとう」と頻繁に言ってくださります。

 

 

Mさんが上記のように話してくれた時には私は

だいたい次のように切り返します。

 

「ね、Mさん、だから僕は絶対楽になるって

いったでしょ(笑)」。

 

この事例の紹介で私が注目したいのは、

「治療をしてよくなった」という治療自慢では

ありません。

 

そうではなく、専門家の診立てが患者さんに必ず

しも届かないということに注目したいのです。

 

私は専門家として専門理論を用いてMさんに、

「大丈夫、この痛みはこれ以上ひどくなりません」

と説明しました。しかも治療者としてのかなりの

確証をもって。

 

この確証とは、いわば治療家としてこれまで行っ

てきた腰痛治療と研究の集大成として導き出され

たものです。

 

 

大げさかもしれませんが、どの治療者でも患者

さんに対峙した時にはそれまでの集大成をもって

治療に臨むものでしょう。

 

しかしMさんが心理的に混乱してもっとも辛い時、

治療者としては「大丈夫ですよ」という言葉が

一番届いてほしい時に、その言葉は届きません

でした。

 

悲しいことですがそんなものなのです(笑)。

 

いくら崇高な理論とそれに基づいた言葉があって

も、目前の患者さんに届かなければ全く意味は

ありません。

 

 

それがたとえ、これまでの治療者人生の集大成で

あったとしてもです。

 

でも面白いことに、というかくやしいことに、

このような患者さんがテレビの情報や素人である

となりのおばさんの言葉に心を動かされることが

あるのです。

 

なぜでしょうか?

次回で私の考えを述べさせていただきますね。

 

夕焼けの木

 

(つづく)

 

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小川 貴司(おがわ たかし)

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