ブドウ由来ポリフェノール物質、うつ病治療への新たな可能性
ニューヨークのマウント・シナイ医科大学と協力機関の研究結果が
雑誌「Nature Communications」に発表されました。
それによると、ブドウ由来のポリフェノール化合である
・ジヒドロカフェ酸(DHCA)
・オエニン(マルビジン-3′- O(オルト)-グルコシド)
が新たなうつ病の治療薬になるかも知れないようです。
ブドウといえば『アントシアニン』が有名ですが、実はこのオエニンもアントシアニンの一種です。
アントシアニンは植物界において広く存在する色素のことで、実は様々な物質があります。
そしてこのアントシアニンは『ポリフェノール』の一種です!
なんだかややこしいですね(笑)
ちなみに、ブドウに含まれるポリフェノールは果肉よりも果皮や種子の方により多く含まれています。
ブドウを食べるなら、丸ごと食べられる品種がおすすめです!!
さて、本題に戻りますが、
現在の抗うつ薬は、脳内のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質を制御する神経伝達系に作用してうつ状態を改善させます。
大変利用価値のある薬ですが、いくつか問題もあります。
例えば、『強い副作用があること』や『うつ病の発症要因が神経伝達物質以外の場合(例えば脳の炎症や異常)には効果が無いこと』です。
そのため、副作用が少なく、他の要因によって発症したうつ病にも対応した抗うつ薬が望まれているのが現状です。
そこでこの報告です!!
この研究によると、『DHCAとオエニンを併用した治療薬をうつ病マウスモデルに用いた際、うつ病様行動が減少した』という結果が出たようです。
それぞれ単品で見た際の効果は
DHCA:炎症促進物質であるインターロイキン6 (IL-6)の生成を減少させる。
オエニン:Rac1遺伝子の発現に関与し、結果としてシナプスの可塑性に関する遺伝子の発現に影響を与える。
この2つの併用が相乗効果を産み出し、うつ状態における回復力を引き出したたようです。
まだマウスを用いた実験ですが、将来に期待が出来る治療薬ですね。
ブドウは食物なので食べてすぐ著明な変化は考えられません。
しかし、習慣的に食べていく中で、これまで色々な抗うつ剤を試したけれど効果が無かった方に、何かポジティブな変化が出ると良いですね。
原文タイトル
Study Identifies Two Substances Derived From Plants That May Have the Potential To Treat Depression
リンク
https://nccih.nih.gov/research/results/spotlight/phytochemicals-for-depression