はじめに
小川鍼灸整骨院のブログです。
今回は、「気象の変化と痛み」と言う論文を紹介します。
慢性的な膝の痛みや腰の痛み、これら慢性痛において天気による痛みの変化はよく聞くところです。
筆者は過去の研究で、気圧や気温の変化が慢性痛モデル動物の痛み行動が増強され、それによって慢性痛有訴者の症状を再現を実証してきました。
また、気圧変化による痛みの増強には内耳の気圧感受メカニズムが関与することを明らかにしています。
内耳は聴覚、平衡感覚を調節する重要な器官です。
これとどう関係しているのでしょうか?
執筆担当は川畑です。
http://www.korikori.com/staff/
論文の内容
天気の変化と痛みの関連性は昔から知られており、気象要素である、気圧・温度・湿度・日照時間・降水量・雷・風などから影響を受けるものを『気象病』と称されてきました。
また、天気が崩れる時に慢性の痛みが増強する『天気痛』はその代表です。
特に関節リウマチ・片頭痛・腰痛・繊維筋痛症に伴う痛みの報告が多いようです。
筆者は、天気痛に関連する実験をこれまで行ってき、今回はそのメカニズムにおいて気圧や気温変化に対する感受性の変化がどのように関わっているかを論じられている。
研究方法
天気痛の再現実験
目的:減圧環境下と症状の相関性を見る
対象者:天気痛を訴える方
指標:VAS
条件:大気圧より-40hPa低気圧環境下に暴露
結果:低気圧下で症状の悪化が見られた。
疼痛モデル動物を用いた天気痛の再現
目的:
対象動物:慢性痛モデル動物
□神経障害性疼痛モデル
①坐骨神経損傷モデル、②脊髄神経結紮モデル
□関節炎モデル
①足関節に起炎剤投与
指標:自発痛様行動
条件:大気圧より-27hPa低気圧環境下に暴露
結果:自発痛様行動の増大。
機械刺激、温熱刺激に対する痛覚過敏の増強と痛覚閾値の低下が見られた
また、交感神経興奮が起こるようなストレスによっても慢性痛が起こることが判明している。
これは、交感神経と痛覚線維が異常連絡が原因のようだ。
ラットによる結果から低温環境下、低気圧環境下でもアドレナリン分泌が高まることが判明した。
天気痛における内耳前庭の役割
対象動物:内耳破壊を施した神経障害性疼痛マウス
指標:自発痛様行動
条件:低気圧環境下に暴露
結果:気圧低下時に痛覚過敏行動が増強しない。
考察:気圧感知センサーが内耳にあり、疼痛行動には気圧の変化感知が関与している。
続いて自律神経反応が引き起こされることで気象病が引き起こされる。
気象病における温度変化の需要メカニズム
目的:感度
対象者:神経障害性疼痛患者
指標:温冷覚・痛覚の評価、血行動態
条件:患部を冷却或いは加温
結果:加温刺激、冷温刺激で痛覚閾値が上昇した。また、正中神経支配領域の皮膚血管収縮反応が亢進している。
神経障害性疼痛では患部の交感神経活動の変化や血管などの自律神経機能異常を伴う事があると考えられる。
上記を踏まえて動物を用いた実験から、温度変化による痛みの増強には皮膚の温度受容線維の反応性の変化が原因である可能性を示した。
また、 慢性痛有訴者の一部では気圧や気温の変化に対して自律神経系が過剰に反応することがあり、 それが症状悪化のも1つの原因であることを示唆した。
当院の見解
慢性痛における天気変化による痛みは、よく知られたところです。
当院では慢性痛における治療を得意としております。
以下ご参照ください。
http://www.korikori.com/blog/%e8%82%a9%e3%81%93%e3%82%8a%e3%81%ae%e6%96%bd%e8%a1%93-%e3%81%ab%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6%e3%80%90%e7%ad%8b%e8%86%9c%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%80%80%e6%95%b4%e4%bd%93%e3%80%80%e8%aa%8d/
おわりに
小川鍼灸整骨院は大阪市の平野区と生野区の境目、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。
参考文献
佐藤純:気象変化と痛み.脊髄外科,29 (2) , 153~156,2015
https://www.jstage.jst.go.jp/article/spinalsurg/29/2/29_153/_pdf/-char/ja