はじめに
小川鍼灸整骨院のブログです。
これまで高齢者の健康維持のための運動として、有酸素運動であるウォーキングやエアロバイク、ヨガや水泳が推奨されてきました。
有酸素運動は心拍数の上昇が緩やかで疲れにくく、心肺機能を高め、体力を維持向上する手段としては有効です。
健康寿命を長くし、自立した健康的な生活を送る為には老化に伴う筋量や骨密度の低下を予防・改善することが重要です。
そのためには有酸素運動だけでは不十分です。
なぜなら、筋量・骨密度の低下は身体機能の低下だけでなく、心理面にもさまざまな弊害をもたらすからです。
老化に伴う筋量、身体能力の変化
正常な老化は筋減少症、サルコぺニアと呼ばれる筋量の減少が特徴的で、筋力減少の大きな原因となります。
骨格筋(姿勢を保ち、身体を動かす筋肉)にこれらの変化は身体機能の低下のみならず、骨折リスクの増大や身体機能や能力の低下、また特に高齢者では自立生活の維持に大きな影響を与えます。
骨格筋など、筋肉は筋膜に包まれた筋繊維という繊維状の細胞とそれらをつなぐ結合組織で構成されています。
サルコぺニアではこの筋線維の量とサイズがともに減少していきます。
筋繊維のサイズの減少は特に速筋(瞬発的な運動を担う)で顕著です。
膝を伸ばす筋肉である大腿四頭筋のひとつである外側広筋を例に見てみると、
筋繊維の減少は25歳ごろから始まり、20歳と80歳の間での筋繊維サイズの減少は平均26%あったという報告があります。
身体能力の低下は歩行速度、バランスと転倒リスクにおいて強く関係しています。
詳しくはこちらに載せています。
高齢者の転倒予防① [健康寿命、ロコモティブシンドローム、運動]
高齢者の転倒予防④ [小川鍼灸整骨院 平野区 運動 バランス 姿勢]
筋力トレ―ニングの効果とリスク
効果:筋量・骨密度の維持向上
筋力トレーニングのもっとも大きな効果は筋量や骨密度の維持向上です。
これによって筋力や代謝の向上、寝たきりや骨粗鬆症、変形性膝関節症、腰痛の予防・改善に効果を発揮します。
リスク:血圧上昇・誤ったフォームや高負荷による腰痛や膝痛
筋力トレーニングは効果があるものの、高負荷運動は血圧上昇をもたらす為、高血圧の治療法としては適していません。
また、誤ったフォームは腰痛や膝痛などの関節痛のリスクがあります。
おわりに
最近の研究で老化に伴う筋量減少は筋力トレーニングによって抑制が可能であることが示されています。
また、健康寿命を高め、高齢時に筋量を残すためにも筋力トレーニングは早期に開始する事が望まれます。
次回は、実際にどんなトレーニングがあるかを紹介します。
当院は大阪市の平野区と生野区の境目、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。
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参考文献
1)田口 貞善:健康・運動の科学.講談社,2012 .
2)上住 聡芳(他):老化や疾患における骨格筋の萎縮と治療への応用.基礎老化研究,vol.34. No4,p5-11,2010 .
3)對馬 均(監約):エビデンスに基づく高齢者の理想的な運動プログラム.医歯薬出版会社,2008 .