はじめに
小川鍼灸整骨院のブログです。
母指MP関節は主に屈曲・伸展を行う関節です。
母指MP関節の安定性は指で物をはさむ動作において重要な役割を持っています。
このはさむ機能は側副靭帯の支持、つまり母指の両左右を通る尺側側副靭帯(小指側)と橈側側副靭帯(母指側)によるものです。
そのため、側副靭帯が損傷するとはさむ動作で痛みや不安定性を生じます。
原因
母指MP関節尺側側副靭帯損傷は球技などで母指が外に向いた状態で手をついたり、スキーのストックなどで強く外に広げられた際に生じます。
他のスポーツでも起こりますがスキーで良く起こるため、スキーヤー母指とも呼ばれます。
また、職業性由来の損傷ではゲームキーパー母指とも呼ばれます。
母指MP関節橈側側副靭帯損傷は、母指が強く内側を向いた状態動や強く伸ばされた時に起こります。
症状
側副靭帯損傷の症状としては、損傷部に痛みや圧痛、腫れ、皮下出血、側方動揺性が生じます。
不全断裂では痛みや腫れ、皮下出血は軽度で、指にストレスを加えても不安感はあまり生じません。
一方、完全断裂では痛みや腫れ、皮下出血が著明で側方動揺性が見られ、ストレスを加えると不安感や痛みが強く生じます
尺側側副靭帯損傷の中でも、断裂した靭帯が中枢へ反転し、内転筋腱膜の表層に乗り上げたものはステナー損傷とばれ、手術適応になります。
治療
不全断裂は基本的に保存療法が選択され、側方動揺性など不安定性が低いものはMP関節の固定で対応可能です。
しかし、不安定性が大きい場合や完全断裂、ステナー損傷がある場合は手術適応となることが多くあります。
保存療法の場合、関節の不安定性が残存する事もあります。
当院の治療
当院では状況に合わせて固定を施し、除去後は可動域訓練を行っております。
また、手の筋肉(特に母指球筋)が萎縮した例では屈曲・伸展・はさみ動作の筋力を向上させる訓練も行っております。
おわりに
母指MP関節側副靭帯損傷はスポーツ現場で比較的遭遇する損傷です。
状態に合わせた処置が必要であり、見極める必要があります。
当院は大阪市の平野区と生野区の境目、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。
大阪市 平野区 加美北 1-1-11
06-6755-6751
参考文献
1)坪川 直人:母指MP関節側副靭帯損傷.最新整形外科学大系,15巻A, 8章骨関節外傷,中川書店,p259-267,1999