はじめに
小川鍼灸整骨院のブログです。今回は、「運動器慢性痛と学際的アプローチ」という論文を紹介いたします。この論文は腰痛などの慢性痛に対して、当院が行なう筋膜リリースや認知行動療法的なかかわりがなぜ必要なのかを説明してくれる論文です。
担当は院長の小川です。
http://www.korikori.com/staff/
内容
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、女性では肩こり、男性では腰痛が最も多い愁訴であると報告され、慢性的な運動器系の痛みは大きな社会問題となっています。これらの痛みに対して、どのような治療的な対策をとるべきか?ということを痛み治療の専門家である愛知医科大学学際的痛みセンターの牛田先生が論じておられます。
以下に箇条書きにして簡単に要約すると、
・運動器慢性痛の特徴としては、痛みの原因が既になくなっていたり、もう落ちつているにもかかわらず、痛みを感じるという場合がある。このような痛みは生活様式や不活動と関係することもあり、治療には専門家による身体的な治療に加えて、患者さん自身が自分の生活様式を見直したりすることが重要。
・腰痛などの運動器系の痛みは、単に関節軟骨がすり減っているとか、原因のある部位だけの問題ではなく、神経的に関連する場所に痛みが波及することが知られており、ここには神経的な問題も関係している。
・腰痛などの運動器系の痛みには関節の角度(アライメント)なども関係する。これらの角度を調整することによって治療に有効な場合がある。
・腰痛などの慢性的な痛みは筋肉部分の血流を悪くしてしまい、そのことが筋肉の痛み受容器を刺激して筋肉に痛みを感じることがある。だから、痛みの原因と考えられる関節のみでなく、筋肉に対する薬物療法や筋力訓練なども必要になる。
・痛みは患部だけで感じられるのではなく、脳で感じるものあるために、痛みの感じ方には「個人差があり、精神的、社会的な要因などで、それらが複雑に絡み合って病的な痛みとなったものが脳で経験するところの慢性痛である」
これらのことから、
例えば腰痛などの慢性的な痛みには、生物学的な要因、心理学的な要因、社会的な環境が関係しており、慢性痛の治療にはそれぞれの専門家がひとつの場所に集まって患者を評価し、全員の意見を協議したうえでチームとしての治療方法を打ち立てて治療ゴールが設定される疼痛ケアシステムが望まれるとされています。
当院の見解
愛知医科大学学際的痛みセンターは痛み研究の世界的権威である熊澤先生が参与を務める研究機関です。そこに在籍される牛田先生もまた、痛み研究の大家です。
この論文で述べられていることは大病院のお偉い先生方の崇高なご意見でありますが、小川鍼灸整骨院に来院される患者さんにでも全く同じ事がいえるのです。
当院には多くの患者さんが来院されますが、その半数以上は
「病院へ行ったけれども異常なしといわれる」
「湿布と痛み止めしか出してくれない」
「何も治療してくれない」
などと言いながら、大きな不満を抱えておられます。
つまり、この論文でも取り上げられているようにこのような患者さんの痛みは単にカラダだけの問題(生物学的な要因)ではなくココロの問題やシャカイ的な問題が絡んでいることが多いのです。
しかし私たちの現場では、ココロの問題とカラダの問題に気付いておられない患者さんも多いために、この部分を治療の対象として治療することも非常に難しいのです。
当院では、この論文と同じように、患者さんの痛みを単ににカラダの問題と捉えるのではなく、ココロの問題とシャカイの問題も同時に考えながら治療を行ないます。
そして、ココロの問題とシャカイの問題が大きいとみられる患者さんに対しては、
まず、筋膜リリースや整体でカラダの問題を小さくしてから、患者さんが希望される場合に限ってココロの問題とシャカイの問題に関して認知行動療法的なかかわりを取るようにしています。
このような関わりは、上記の論文で取り上げられている学際的な治療システム、つまり、
「慢性痛の治療にはそれぞれの専門家がひとつの場所に集まって患者を評価し、全員の意見を協議したうえでチームとしての治療方法を打ち立てて治療ゴールが設定される疼痛ケアシステムが望まれる」
ということと同じであり、当院はそれを行なってる!!
と自負しております。
だから、当院はどこに行っても良くならなかった患者さんの治療を得意とするのです。特に腰痛は鍼灸・筋膜リリースと認知行動療法的なかかわりで治療効果がみられています。
おわりに
大阪市の平野区、生野区界隈で、腰痛や坐骨神経などの痛みでお悩みの方は是非とも当院にご相談下さい。鍼灸・筋膜リリース・整体・認知行動療法的なかかわりを用いてどこに行っても良くならない患者さんの治療をしっかりと行なっております。小川鍼灸整骨院は大阪市の平野区と生野区の境目、地下鉄千日前線南巽駅①出口から徒歩1分のところにあります。
参考文献
牛田享宏:運動器慢性痛と学際的アプローチ . 理学療法学第 38 巻第 8号,pp649- 652, 2011.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/rigaku/38/8/38_KJ00007731394/_pdf/-char/ja