はじめに
小川鍼灸整骨院のブログです。
今回は、「慢性疼痛の捉え方—腰痛治療からみえてきたもの—」という論文を紹介いたします。
この論文を取り上げた理由は次の通りです。それはこの論文が『慢性的な痛みは「からだ」と「こころ」と「文化」が関係している』という内容を取り扱っているからなんです。当院もこのような考え方から治療を行っています。
どこにいっても良くならない腰痛や肩こりなどの慢性疼痛は、「からだ」の問題に対してのみ治療を行っていて、「こころ」や「文化」の問題に対処できていない可能性があります。
当院では、鍼灸・筋膜リリース・整体などの治療を行ないますが、認知行動療法的なかかわりを通して「こころ」と「文化」(社会)の問題についても可能な限り対処するようにしています。
内容は以下の通りです。
・論文の内容について
・当院の見解
・おわりに
・参考文献
また当院では、
無料相談を受け付けています。
小川鍼灸整骨院は大阪市の南東、平野区と生野区の境目、南巽・加美北地区、南巽駅近くにある鍼灸・整骨院です。地域で一番おすすめの整骨院、あなたにとっていちばん近くの整骨院を目指しています。
論文の内容について
腰痛や肩こりは、一生に1度は陥る疾患であり、その原因は背骨の老化(変性)にあるとされます。
背骨(頚椎・腰椎)の椎間板、椎間関節、それを支える靭帯などの老化(変性)が慢性的な痛みを大きく関係しています。
背骨は体を支えながら(安定性)、それでもしなやかに動く必要があり(可動性)、そして脳から全身へとつながる神経の入れ物(神経の保護)としての3つの役目を果たしていますが、これらの役目が老化によって果たせなくなり痛みが出てきます。
変形性腰椎症や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症の3つの疾患は腰椎の老化(変性)によって引き起こされるものですが、これらが関連しあって腰痛は出てきます。肩こりも基本的には同じことです。
しかし、頚椎や腰椎の老化(変性)はすべての人に起こるものですが、痛みを感じないという人もいます。
また一度強い痛みを感じてもまた痛みのない状態に落ち着くこともあります。
だからレントゲンやMRIでひどい変形やヘルニアがあったとしても全く痛みを感じないという人もいます。ここが腰痛の複雑なところです。
また、MRI検査では「見えすぎる」ことが問題になることもあると筆者は指摘しています。
どういうことかというと、詳しく見えすぎた「異常」がかならずしも痛みと関係しているとはいえないということなんですね。
だから詳しく説明されてしまった患者さんが本当は痛みの原因にはなっていない異常に見えるMRI画像を気にしすぎて不安が大きくなりすぎてしまい、結果として症状を大きく感じてしまうということがあります。
またこれとは別に、腰痛はうつ病を併発しやすく、これとは逆に精神疾患と腰痛の関係性も指摘されています。
さらに、まじめ気質、潔癖、恥の感性を特徴する日本人の気質とされる日本人の国民性が腰痛を慢性化させることも指摘しています。
例えば、腰痛で休職しなくてはならなくなった人は、しっかりと休養をとって完全に治ってから職場に復帰することを求められ、それがプレッシャーになってストレスを感じたりすると、職場に復帰することが難しくなったりします。
このように腰痛は精神的な不安定さと何らかの形で関連していることから、職場や学校に復帰できなくなることもあります。
ここには、実際にある腰痛としての「からだ」の問題に加えて、個人の「こころ」の問題、さらに「文化」(社会)の問題が複雑に絡み合っており、この複雑さが症状を慢性化させて「慢性疼痛」となってしまうことがあるのです。
その他、この論文では治療におけるエビデンスについても言及されています。
例えば慢性腰痛患者さんが比較的良く好む腰椎の牽引は治療としての科学的根拠に乏しいとされています。コルセットなどもよく分っていないとされています。
ここでは同じく鍼治療やマッサージの効果についても否定的に書かれていますが、この論文が公開されたのは2008年です。
その後に鍼灸やマッサージが慢性腰痛に効果的である論文は出てきていますので、ここは否定させてください。
当院の見解
腰痛や肩こりについてはその痛みの原因の割合によって治療の方法は変わります。「からだ」の問題が最も大きい1のタイプでは医療機関での検査が必要になります。
2のタイプでは、「からだ」の原因に対処しながら「こころ」の問題にもしっかり対処して今ある痛みを小さくする必要があります。自分の考え方が痛みを感じにくい他の人と比較してどのように違っているのかを考えることは有用です。
3のタイプでは、「からだ」の原因の割合が極端に小さいことから「こころ」や「文化」に対するなんらかの治療法が必要ですが、「文化」に対しては治療するというよりは自分の解釈を整理する考える方がしっくりときます。
しかし多くの人が受ける現状の腰痛治療では、腰痛の原因を「からだ」だけに求める傾向にあります。
だから「からだ」以外のところに原因がある患者さんの痛みは、なかなか治りにくいということになります。
この現状を痛みで苦しむ患者さんにご理解頂く事は非常に難しい問題です。なぜなら、多くの人は痛みの原因は「からだ」にだけにあると強く思い込んでいるためです。
そしてこの思い込みは「こころ」の問題や「文化」(社会)の問題についてはなんとかく分っていても、具体的にどのように対処すればよいか全く分らないから起こると考えられます。
当院ではまず身体に対する治療を、鍼灸施術・整体・筋膜リリースを用いてしっかりと行います。
そして、症状がある程度落ち着いてきたところで「こころ」や「文化」(社会)の原因について患者さんとお話しするようにしています。このような会話を当院では「認知行動療法的なかかわり」と呼んでいます。
当院の認知行動療法的なかかわりにつきましては、以下のリンクをご参照ください。
遠方で来院できない方は、リモートカウンセリングも行なっています。痛みの経緯や痛みの具合からどのような対処法が必要かについてアドバイス致します。但し、診断行為は行えませんのでご了承下さい。ご希望の方はメールにてご予約ください。
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おわりに
大阪市の平野区、生野区・南巽界隈で、腰痛、坐骨神経痛、脊柱管狭窄症、ヘルニア、手術後の痛みでお悩みの方は是非とも当院にご相談下さい。
はり・筋膜リリース・整体と同時に認知行動療法を施術に応用していています。
当院は大阪市の平野区と生野区の境目にある加美北地区、地下鉄(大阪メトロ)千日前線南巽駅1番出口から徒歩1分のところにある整骨院です。北巽駅ではなく南巽駅ですのでどうぞお間違えなくご来院ください。
当院の患者さんは、平野区、生野区、東住吉区、城東区、それに周辺の八尾市、東大阪市渋川町、寿町、衣摺などから来院されています。
参考文献
金森昌彦:慢性疼痛の捉え方—腰痛治療からみえてきたもの—,心身健康科学4 巻 1 号 p. 18-25,2008.