はじめに
「ジョーンズ骨折なので手術を勧められました。でも、手術をせずに治すことはできませんか?」
このような相談で来院された、高校生のサッカー選手の症例をご紹介します。
サッカーの練習中に右足を痛め、整形外科で**第5中足骨骨折(ジョーンズ骨折)**と診断され、手術を勧められました。
しかし本人には、卒業式、卒業試合、イギリス留学、大学でのサッカーという大切な予定があり、できれば手術を避けたいという希望がありました。
そこで当院では、保存療法のリスクも説明したうえで、エアキャストを使用し、提携整形外科でレントゲンを確認しながら経過をみることにしました。
その結果、骨癒合は順調に進み、段階的にウォーキング、ジョギング、サッカー練習へ復帰することができました。
この記事では、なぜ保存療法を選択したのか、骨がどのように治っていったのか、いつ頃から歩行やサッカー復帰を進めたのかを、実際の画像と経過を交えてご紹介します。
※すべてのジョーンズ骨折が保存療法で治療できるわけではありません。治療方針は骨折の状態や競技レベルなどを含めて判断する必要があります。
目次
この記事では、ジョーンズ骨折で手術を勧められた高校生サッカー選手が、保存療法を選択し、骨癒合から競技復帰まで進んだ経過をご紹介します。
・ジョーンズ骨折と診断され、手術を勧められるまで
・ジョーンズ骨折はなぜ手術を勧められることが多いのか?
・手術をせず保存療法を選択した理由
・エアキャストを使った固定と歩き方|いつから歩ける?
・ジョーンズ骨折はどれくらいで治る?レントゲンでみた骨癒合の経過
・サッカーにはいつ復帰できる?ウォーキングから競技復帰までの経過
・FAQ(よくある質問)
・当院のクチコミ
・小川鍼灸整骨院について
・参考文献
第5中足骨骨折全般については、こちらのブログをご参照ください。
ジョーンズ骨折と診断され、手術を勧められるまで
この患者さんは高校生のサッカー選手です。
サッカーの練習中、着地した際に右足の外側へ痛みを感じました。強く足首を捻った感覚はなく、「少し捻ったのかな?」という程度で、受傷直後はどこを痛めたのか自分でもはっきりしなかったそうです。
翌日、整形外科を受診したところ、第5中足骨の骨折を指摘され、ジョーンズ骨折と診断されました。
また、受傷の仕方や画像所見などから疲労骨折の可能性も考えられ、手術を勧められました。
しかし本人には、約2週間後の卒業式、6月末の卒業試合、8月中旬のイギリス渡航、そして9月からの大学サッカーという大切な予定がありました。
そのため、
「手術をすると予定がすべて変わってしまうのではないか」
「できれば手術をせずに治したい」
という強い希望があり、当院へ相談に来られました。
受傷当初から、歩けないほどの強い痛みはありませんでした。そこで当院では、手術以外の選択肢が本当にないのかを検討するため、画像所見と症状、競技レベル、今後の予定を整理しながら治療方針を考えることにしました。
ジョーンズ骨折はなぜ手術を勧められることが多いのか?
ジョーンズ骨折は、第5中足骨の中でも骨癒合に時間がかかりやすく、遷延癒合や偽関節が問題になることがある骨折です。
特にスポーツ選手では、保存療法だけでなく手術療法が選択されることも少なくありません(Albloushiら, 2021)。
実際、競技者を対象としたメタ解析では、手術療法は保存療法と比べて骨癒合率や競技復帰率が高く、復帰までの期間も短い傾向が報告されています(Attiaら, 2021)。
今回の患者さんも高校生のサッカー選手で、将来はイギリスの大学で競技を続ける予定でした。そのため、整形外科で手術を提案されたこと自体は、競技復帰や再骨折のリスクを考えれば十分に理解できる判断です。
一方で、ジョーンズ骨折だから必ず手術が必要というわけではありません。Zone2・Zone3骨折の治療については現在も議論があり、患者さんの希望や活動レベル、骨折の状態に応じて治療方針を個別に決める必要があるとされています(Chlorosら, 2022)。
つまり大切なのは、「手術か保存療法か」を最初から決めつけることではなく、骨折の状態と患者さん自身の事情を合わせて治療方法を選択することです。
次に、この患者さんが手術ではなく保存療法を選択した理由について説明します。
手術をせず保存療法を選択した理由
今回の患者さんは高校生のサッカー選手で、整形外科では手術を勧められていました。
一方で、ジョーンズ骨折には保存療法で骨癒合が得られる症例も報告されています。文献では、6〜8週間程度の免荷固定によって良好な結果が得られる例があり、急性ジョーンズ骨折では保存療法も治療選択肢の一つとされています(Rosenbergら, 2008)。
また、急性ジョーンズ骨折を荷重制限なしで治療した報告では、27例中24例、89%で平均約8週に臨床的骨癒合が得られています(Marecekら, 2016)。
ただし、競技レベルの高い選手では、骨癒合までの時間や再骨折リスクを考慮して手術が選択されることも少なくありません。そのため、保存療法を選ぶ場合には、骨折の状態だけでなく、本人の希望、今後の予定、再骨折や遷延癒合のリスクを理解できるかどうかも含めて判断する必要があります。近年のレビューでも、Zone2・Zone3骨折の治療は患者さんのニーズや骨折の特徴に応じて個別化すべきとされています(Chlorosら, 2022)。
今回の患者さんは、卒業式、卒業試合、イギリス留学、大学でのサッカーという予定があり、できれば手術を避けたいという強い希望がありました。
そこで当院では、保存療法のメリットだけでなく、骨癒合が遅れる可能性や再骨折のリスクについても説明しました。
さらに、受傷約2週でレントゲンを確認し、仮骨形成が十分に進んでいればエアキャストで保存療法を継続し、仮骨形成が乏しければギプス固定へ変更するという条件もあらかじめ本人と共有しました。
つまり、最初から「手術をしない」と決めたのではなく、画像で骨癒合の経過を確認しながら、必要であれば治療方針を変更できる形で保存療法を選択したということです。
エアキャストを使った固定と歩き方|いつから歩ける?
今回の患者さんには、ウォーキングブーツ型のエアキャストを使用しました。
ジョーンズ骨折の保存療法では、歩行用ブーツやギプスなどを使って骨折部を保護する方法があります。治療方法は骨折部位や画像所見、患者さんの活動性などによって異なります(Albloushiら, 2021)。
今回使用したエアキャストは、足首から下腿までを固定し、足関節の動きや前足部への負担を抑えながら歩行できる装具です。
当院では、つま先側で強く蹴り出さず、踵側を中心に荷重する歩き方を指導しました。
完全に「歩かない」生活にするのではなく、骨折部への負担をできるだけ抑えながら日常生活を維持することを目指しました。
また、保存療法を始めた時点で「このまま必ずエアキャストで治療を続ける」と決めたわけではありません。
受傷約2週後にレントゲンを確認し、仮骨形成が進んでいればエアキャストを継続し、骨癒合の進みが不十分であればギプス固定へ変更することを、あらかじめ本人にも説明していました。
実際には、約2週で仮骨形成が確認でき、その後もレントゲン上の骨癒合は順調に進みました。
受傷約7週の時点では、エアキャストを装着した歩行に問題はなく、松葉杖も使用していませんでした。自宅ではエアキャストを外して過ごす時間も増えていましたが、痛みはほとんどありませんでした。
ただし、ジョーンズ骨折では「歩けるから治っている」とは限りません。保存療法中の荷重については現在も議論があり、真のJones骨折では免荷を基本とする考え方がある一方、歩行ブーツを用いた機能的治療も報告されています(Chlorosら, 2022)。
そのため、いつから歩けるかは痛みだけで判断せず、レントゲンによる骨癒合の確認と合わせて決めることが大切だと考えています。
ジョーンズ骨折はどれくらいで治る?レントゲンでみた骨癒合の経過
ジョーンズ骨折で患者さんからよく聞かれるのが、
「いつになったら骨はくっつくんですか?」
という質問です。
今回の患者さんでは、受傷約2週の時点でレントゲン上に仮骨形成が確認できました。そのため、予定していた通りエアキャストによる保存療法を継続しました。
その後も提携整形外科で定期的にレントゲンを確認し、骨癒合が順調に進んでいることを確認しながら、少しずつ活動量を上げていきました。
ジョーンズ骨折の骨癒合には個人差がありますが、保存療法でも平均8〜11週前後で臨床的あるいは画像上の癒合が得られた報告があります(Marecekら, 2016;Rikkenら, 2021)。
また、レビューではZone2・Zone3骨折では6〜8週頃から仮骨形成がみられることがあり、この時期の画像所見がその後の治療方針を考えるうえで重要とされています(Chlorosら, 2022)。
今回の患者さんでは、受傷約7週の時点で痛みはほとんどなく、エアキャストでの歩行にも問題はありませんでした。
「痛みがなくなる時期」と「レントゲンで骨がつく時期」は同じではない
骨折の回復を考えるときには、臨床的骨癒合とレントゲン学的骨癒合を分けて考える必要があります。
Kingeryら(2024)は、臨床的骨癒合を「骨折部の圧痛がなくなり、受傷前の歩行状態に戻った時点」、レントゲン学的骨癒合を「少なくとも3つの皮質に架橋仮骨を認めた状態」と定義しています。
この研究では、非手術群の臨床的骨癒合までの平均期間は12.7週、レントゲン学的骨癒合までの平均期間は13.2週でした(Kingeryら, 2024)。
つまり、痛みがなくなって歩けるようになることと、レントゲン上で骨が十分につながることは同じではありません。
実際には、痛みがほとんどなくなっていても、レントゲンでは骨折線が残っていることがあります。
今回の患者さんも、8月にはサッカー動作をかなり行えるまで機能が回復していましたが、画像上では骨折線が残存していました。
したがって、この時点では、
「臨床的には大きく回復し、レントゲン上でも骨癒合は進行しているが、画像上の完全癒合を確認した状態とはいえない」
と評価するのが適切です。
そのため、
「痛くないから完全に治った」
「骨折線が残っているから全く治っていない」
と単純に判断するのではなく、症状と画像所見の両方を確認しながら回復段階を判断することが大切です。
サッカーにはいつ復帰できる?ウォーキングから競技復帰までの経過
ジョーンズ骨折の患者さん、とくにスポーツをしている方からよく聞かれるのが、
「いつから走れますか?」
「いつサッカーに復帰できますか?」
という質問です。
今回の患者さんでは、骨癒合の経過が順調だったため、受傷後9週目から段階的に運動を再開しました。
具体的には、
受傷後9週目:ウォーキング
受傷後10週目:ジョギング
受傷後11週目:軽いサッカー練習
受傷後12週目:8割程度の強度
という流れで進めました。
8月8日のLINEでは、
「今はサッカーも強いシュート以外なら全く痛みなく出来ています」
との報告があり、その後さらに強度を上げ、8月18日には通常のサッカーやキック動作も問題なく行えるところまで回復していました。
ただし、この時点でレントゲン上の完全な骨癒合が確認できたと判断したわけではありません。
臨床的な回復とレントゲン学的な骨癒合には時間差が生じることがあり、Kingeryら(2024)の報告でも、非手術群では臨床的骨癒合まで平均12.7週、レントゲン学的骨癒合まで平均13.2週とされています。
そのため今回も、競技強度を一気に元へ戻すのではなく、症状と画像所見を確認しながら段階的に負荷を上げていきました。
競技者のジョーンズ骨折では、保存療法後の競技復帰までの期間は手術療法より長くなる傾向があります。競技者を対象としたメタ解析では、保存療法後の競技復帰までの平均期間は約13週と報告されています(Attiaら, 2021)。
また、ジョーンズ骨折では、痛みがなくなっただけで早期に競技復帰すると再骨折のリスクがあるため、画像上の骨癒合を確認する前の早期復帰は避けるべきとするレビューもあります(Roche & Calder, 2013)。
そのため当院では、単に「痛くないから復帰する」のではなく、
レントゲン上の骨癒合、歩行時の痛み、ジョギング、方向転換、キック動作
といった段階を一つずつ確認しながら競技復帰を進めています。
今回の患者さんも、いきなりサッカーへ戻したのではなく、ウォーキングからジョギング、軽い練習、通常練習へと段階的に負荷を上げていきました。
ジョーンズ骨折の復帰時期は、骨折の状態や競技レベルによって異なります。
特にサッカーでは、走るだけでなく、切り返しやキックなど第5中足骨に強い負担がかかる動作が多いため、「走れる=試合に出られる」ではないことも重要です。
FAQ(よくある質問)
Q1. ジョーンズ骨折は手術をしなくても治りますか?
保存療法で骨癒合する例はあります。実際、急性ジョーンズ骨折を保存療法で治療し、良好な骨癒合が得られた報告があります(Marecekら, 2016)。
ただし、競技者では手術療法の方が骨癒合率や競技復帰率が高いという報告もあります(Attiaら, 2021)。
そのため、「手術をしない方がよい」「手術をした方がよい」と一律に決めるのではなく、骨折の状態や競技レベル、本人の希望を含めて判断することが大切です。
Q2. ジョーンズ骨折はどれくらいで骨がつきますか?
研究によって「骨癒合」の定義が異なるため、「何週間で治る」と一律にいうことはできません。
急性ジョーンズ骨折を保存療法で治療したMarecekら(2016)の報告では、27例中24例(89%)で平均約8週に臨床的骨癒合が得られています。
一方、Kingeryら(2024)の研究では、非手術群の臨床的骨癒合までの平均期間は12.7週、レントゲン学的骨癒合までの平均期間は13.2週でした。
この違いからも分かるように、痛みがなくなる時期と、レントゲン上で十分に骨がつながる時期は必ずしも同じではありません。
今回の患者さんでも、サッカー動作ができるほど症状が改善した時点でも、レントゲン上では骨折線が残っていました。
そのため、症状だけで「完全に治った」と判断するのではなく、レントゲン所見も確認しながら回復を評価することが大切です。
Q3. ジョーンズ骨折でも歩いていいですか?
骨折の状態によって異なります。
急性ジョーンズ骨折を荷重制限なしで治療した報告もありますが(Marecekら, 2016)、すべての患者さんに同じ方法が適しているわけではありません。
今回の患者さんでは、エアキャストを使用し、前足部への負担を減らしながら歩行しました。
「歩けるから大丈夫」と自己判断するのではなく、画像所見や痛みを確認しながら荷重量を決めることが重要です。
Q4. エアキャストは必ず必要ですか?
必ず必要というわけではありません。
保存療法にはギプス、歩行用ブーツなど複数の方法があります。
今回の症例では、日常生活を維持しながら骨折部への負担を減らす目的で、ウォーキングブーツ型のエアキャストを使用しました。
固定方法は、骨折の状態や生活環境によって選択します。
Q5. サッカーにはいつ頃復帰できますか?
競技者を対象としたメタ解析では、保存療法後の競技復帰までの期間は平均13.1週と報告されています(Attiaら, 2021)。
今回の患者さんでは、
- 9週目:ウォーキング
- 10週目:ジョギング
- 11週目:軽い練習
- 12週目:8割程度の強度
と段階的に復帰しました。
ただし、走れることと、試合で安全にプレーできることは別です。
切り返しやキック動作まで確認しながら復帰を進める必要があります。
Q6. 痛みがなくなればサッカーに戻っても大丈夫ですか?
痛みがなくなっただけで競技復帰を判断するのはおすすめできません。
ジョーンズ骨折では、画像上の骨癒合が十分でない時期に競技復帰すると再骨折のリスクがあるとされています(Roche & Calder, 2013)。
特にサッカーでは、ダッシュ、方向転換、キックなどによって第5中足骨に大きな負荷がかかります。
痛みだけでなく、レントゲン所見と競技動作を確認して復帰時期を判断することが大切です。
Q7. 手術を勧められた場合、保存療法を希望してもよいですか?
治療方針について希望を伝えることは可能です。
Zone2・Zone3骨折では治療方針に議論があり、患者さんの希望や活動性、骨折の特徴に応じて個別に判断する必要があるとされています(Chlorosら, 2022)。
ただし、保存療法には骨癒合の遅れや再骨折などのリスクがあります。
そのため、手術を避けたい場合でも、メリットとリスクの両方について説明を受け、納得したうえで治療方法を選ぶことが大切です。
当院のクチコミ
当院には、第5中足骨骨折や骨折後のリハビリについて、
「手術やギプス以外の方法はないのか」
「骨はついたと言われたけれど、まだ痛みや腫れが残っている」
「仕事やスポーツに戻れるのか不安」
といったご相談が寄せられています。
ここでは、実際に当院へ来院された患者さんからいただいたクチコミをご紹介します。
※以下のクチコミは個人の感想であり、治療効果や回復期間には個人差があります。
参考までにクチコミ内容をご確認ください。
また当院では全国から寄せられたお悩みに対してYouTubeでお答えしています。
Youtubeチャンネル
小川鍼灸整骨院について
小川鍼灸整骨院は大阪市の南東、大阪市と東大阪市の境目、平野区加美北8丁目にある鍼灸整骨院です。
最寄り駅はJRおおさか東線衣摺加美北駅(徒歩4分)です。
https://maps.app.goo.gl/9KUCcN8otrGgGbin6
・病院で検査をしても異常がないけどつらい症状
・手術をしたけどよくならない症状
・どこに行ってもよくならない症状
にお困りの方の治療を得意とする鍼灸整骨院です。
主な施術は、はり・筋膜リリース・整体と同時に認知行動療法を施術に応用しています。
当院の患者さんは、大阪府内にとどまらず、他府県からも来院されています。
第5中足骨骨折についても、レントゲン画像や症状、生活状況、スポーツへの復帰時期などを確認しながら、必要に応じて提携する整形外科と連携して対応しています。
今回の症例のように、手術を勧められている場合でも、手術を否定することを目的としているわけではありません。
手術と保存療法、それぞれのメリットとリスクを理解したうえで、その患者さんに合った方法を一緒に考えることを大切にしています。
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