はじめに
小川鍼灸整骨院のブログです。
今回は、当院の施術によって10年続いた顎関節症と体の歪み改善した事例を紹介します。
この事例は2018年に、第 61 回日本心身医学会近畿地方会 第 48 回近畿地区講習会で発表したものです。
この研究では、
「なぜ治療が効いたのか?」を本人に直接インタビューとメールを通して伺いました。
詳細は以下の通りです
・患者Zさんについて
・施術と結果
・インタビューの結果
①Z氏のストレス
②顎に異常を感じるようになった物語
③実際に治療はどうだったのか?
④治療を受けて何が変わった?
⑤もう大丈夫?
・なぜよくなったのか
・おわりに
また当院では、
無料相談を受け付けています。
小川鍼灸整骨院は大阪市の南東、平野区と生野区の境目、南巽・加美北地区、南巽駅近くにある鍼灸・整骨院です。地域で一番おすすめの整骨院、あなたにとっていちばん近くの整骨院を目指しています。
患者Zさんについて
Zさんは26歳の男性で、専門学校教員です。
県内有数の進学校(高校)に進学したものの、学歴社会や成績優秀な大学に合格するための勉強に嫌気がさして、家族や学校の先生との軋轢を感じながら高校生活を送りました。
我流の受験勉強の結果、一流の私立大学に合格したものの、Zさんの満足度は高くない状態で、常に考え続け、本を読み漁り自分の生き方を模索されているような方です。
当院へは下記①~③の訴えで来院されました。
①頚肩の痛み・身体の歪み・睡眠障害・頭痛(2~3ヵ月前から原因なく感じる)
②両顎関節の痛み(10年以上前から原因なく痛い)
③体の歪み
初診時にZさんから伺うことができた興味深い話はとしては、
・感覚的にからだが右に傾いている
・大げさかもしれないけど傾いていることがストレス
・首の治療だけしてもらっても意味がないような気がする
・何か根本的に解決できることがあれば行いたい
・顎関節症の治療を通じて、治療者に対して不審を感じている
ということでした。
施術と結果
治療期間は4ヵ月で、整体・筋膜リリースを10回、Z氏が筋緊張を自覚し、症状の原因を姿勢不良と考えたために、筋緊張・関節の歪みを緩めて姿勢を改善させることを目的としました。
また、カウンセリングを2回、7回目と10回目の後に行ないました。
カウンセリングでは、Zさんが、
「体の歪みについて気にしていること自体がストレスに感じる」、
「頚の痛みの治療だけをしても意味がないような気がする」
と話したために、
「体の歪みについて考えすぎることをやめると痛みがなくなる」
ということを論理的に指導しました。
治療の結果は、頚の痛み・頭痛・不眠が大きく軽減しました。
それまでに数件の歯科にかかり、高額なマウスピースや効果を感じない治療にうんざりしていたZさんは大変喜んでくださいました。
そこで私は治療効果を検証するために、Z氏にインタビューを行ないました。インタビューとその回答は次の通りです。
インタビューの結果
①Zさんのストレスとは?
高学歴を得るための勉強に嫌気をさしたZさんは、期待に応えるための勉強が大きなストレスになったそうです。このストレスについてZさんはメールで次のように書いていました。
「高校生になり、ぼくは受験勉強のために勉強することをやめ、我流で勉強するようになりました。この結果、ぼくは『正統的な知性』をうしなってしまったと自己規定するようになりました。ストレスの原因とは、要は『ぼくの純真無垢なまなぶことへのよろこびをうばった親をふくむ周囲の身勝手な価値観のおしつけへの憤り』です。これによって、ぼくの可能性の芽はつまれたと、ながく不満をかかえていました。(いまもかかえているでしょう)。」
②顎に異常を感じるようになった物語
Zさんは、上記のストレスのもとに顎関節の異常を感じるようになったと話しました。
Zさんは数件の歯科医を受診したが受ける説明は異なることが多く、前医で処方されたマウスピースを次の歯科医院で否定されるということもあり、医師や歯科医師に不信感を抱くようになっていました。
その頃より、頭痛や肩こりなどの体調不良も感じることが多く顎関節の歪みとそれに関連する体の歪みが症状の原因であると考えるようになったそうです。
③実際に治療はどうだったのか?
正直、整体が効いたのかはよく分からない。
ただ、最初からカウンセリングを受けることには抵抗を感じたので整体はカウンセリング前に信頼関係をつくる上ではよかった。
治療は最初の2ヵ月よりもメール交換に移ってからの方が効果的だったと思う。
メールは体に関係のない内容ばかり。でも、自分の顎と家族の関係など誰にも話せなかったことを聞いてもらえてそれで痛みがスーッとなくなった気がする。
④治療を受けて何が変わった?
姿勢のコントロールを先生に丸投げできるようになったから楽になった。でも考えることは好きなので止めたくない。ただ、考える内容が変わった。
これまでは姿勢のコントロールに注意を払っていたが、考える事をコントロールする作業に変わった。
⑤もう大丈夫?
いつでも(症状が)元に戻る自信はある。自分のゴールは顎の問題を意識しなくなること。今体調が良いのは、顎の問題が自分の意識の周辺に追いやられているから。
この問題はいつでもまた中心に戻ってくると思う。それぐらい根が深いし、長い時間悩んできたから。この短期間で治るとはまだ思えない。
なぜよくなったのか
ここでは、Zさんの効果に対する治療者としての私(小川)の考えを述べます。
「治療というのは、身体に対する何らかの治療を行なうだけでは効果は出ない」
というのが私の基本的な考え方です。
なぜなら、患者さんの痛みの原因は単純に身体の中だけにあるのではなく、身体と心の両方にあると考えるからです。
例えば意識と痛みの感じ方は切り離せない関係性にあります。
痛みと意識の関係について【肩こり 腰痛 慢性の痛み 平野区 生野区 南巽 整骨院 鍼灸 筋膜リリース 整体 認知行動療法】
身体だけ治してもダメ。でも、身体は治さないとダメ。心と身体、両方治して治療は完成すると私は考えます。
しかし難しいのは、最初から心の問題は扱えないということです。
なぜなら、患者さん自身も自分の痛みが心と関係しているということに気付いていないことが多いからです。
実際にZさんも、「最初からカウンセリングを受けることには抵抗を感じた」と話しておられますが、それは症状の原因が心にあるとはじめから言われることに抵抗を感じるからです。
しかし患者さん自身が治療を受けていく中で、自分の考えの変化と症状の変化の関連性に気付くことができれば、治療はゴールまでの半分ぐらいまで進んだことになると考えます。
整体の効果についてZさんは「正直、整体が効いたのかはよく分からない」とおっしゃいます。
しかし、私自身は整体と筋膜リリースを通してZさんの筋肉が緩み可動域が広がっていくことを感じました。
Zさんの印象としては、筋肉の緩みや可動域の変化よりも自分の心の変化の方が大きな意味を持ったのでしょう。
だからこのような表現になったのだと考えられます。このことは治療効果を得るためには非常に大切なことなのです。
Zさんはこれまで、身体の歪みを感じており、その歪みは顎関節症と関連しているとずっと考えていました。
そして、そのきっかけとなる高学歴社会の問題や親との人間関係にインタビュー当時も不満を持っておられました。これらの、ストレスが顎関節周りの筋肉に緊張を与え、その緊張が頭の位置を変化させて身体の歪みにつながったと考えます。
このことは文献から説明させてもらいましたね。
前回のブログをご参照ください。
もちろんZさんはこのストレスと顎関節症の関係についてこれまで指摘されたことはなかったと思いますし、Zさん自身、この関連性には気付いていませんでした。
ここに気付きが得られて、また、歪みに意識を向けないようにすることで歪みを意識しなくなったのです。
つまり、医学的な顎関節症とそれによる身体の歪みを筋膜リリース・整体で改善させ、さらに意識を歪みから逸らすことで、症状自体を意識しなくなったということです。
遠方で来院できない方は、リモートカウンセリングも行なっています。痛みの経緯や痛みの具合からどのような対処法が必要かについてアドバイス致します。但し、診断行為は行えませんのでご了承下さい。ご希望の方はメールにてご予約ください。
↓↓↓
おわりに
大阪市の平野区、生野区・南巽界隈で、顎関節症やストレスにお困りの方はどうぞ小川鍼灸整骨院にご相談ください。
はり・筋膜リリース・整体と同時に認知行動療法を施術に応用していています。
当院は大阪市の平野区と生野区の境目にある加美北地区、地下鉄(大阪メトロ)千日前線南巽駅1番出口から徒歩1分のところにある整骨院です。北巽駅ではなく南巽駅ですのでどうぞお間違えなくご来院ください。
当院の患者さんは、平野区、生野区、東住吉区、城東区、それに周辺の八尾市、東大阪市渋川町、寿町、衣摺にとどまらず、他府県からも来院されています。
参考文献
鈴木光雄:人類の発生学から咬合学へ(前半).顎咬合誌 第24巻 第2・3合 併号345-350,2004.
奈良 貴史:人類進化の負の遺産.バイオメカニズム.23 巻 p. 1-8,2016.
和気 裕之他):顎関節症患者の心身医学的な治療の変遷.日本補綴歯科学会誌, 4 巻 3 号 p. 256-266,2012.